レポートについて
        
 桑折 1992.4.27, 1998.5.13

           参考書:木下是雄「理科系の作文技術」
           R. Barrass "Scientists Must Write"
           R. Barrass "Students Must Write"

 

 大学においては、しばしばレポートの提出が求められる。この講義でもレポートを重視したい。そこで、レポートとは何か、どう書けば良いかについて、その最小限のことをまとめて示そう。

 演習.「レポートとは何か−思いつくことをまとめてみよ」

 

レポートを書くことの重要性

 実験、実習がある場合は、そのレポートを書き提出しなければならない。それは、大学の自然科学系の学部では必須のことである。
 4年次には卒業研究などで、卒業研究報告(レポート)、卒業論文を書く必要が生ずるであろう。その時には、更にまとまった参考書(上記)などを読み、良いレポート、論文を書いて欲しい。
 社会に出ても、短い報告(レポート)を書かなければならない場合は非常に多い。それを通じて、自分のやったことや提案を他の人(上司、同僚)に認めてもらわなければならない。
 ここでは、自然科学系、人文社会学系に依存しないレポートの書き方、レポートとはどんなものかを主に示す。

 

書くことは考えること

 一方、自分自身にとってどんな意味があるか。単に成績のため、単位をとるためではない。自分の考え、主張、創ったストーリーをより良く伝えることがレポートを書くことの主眼である。自己実現、コミュニケーションに価値がある。
 考えを明確に示していく過程(プロセス)が重要、書いていくうちに、初めに考えていた論理にあらが見えてくる。そのときは、考えを修正、論理性を貫く。「書くことを通じて考える」というのがより正確な表現である。
 ワープロを使用することは、このプロセスを繰り返すためには便利である。
 更に、アウトラインプロセッサというのも便利。これについては、別に示す予定。

 

ここではレポートの書き方の最小限(minimum)を示す

 レポートの書き方はそれだけでかなりの分量の講義時間を必要とする。また、そのこと自身は、教養教育のテーマではあるが、物理学のテーマではない。そこで、この講義において提出してもらうレポートで、これだけは守って欲しいと思う最小限のことをまとめて、示す。(実験、実習のレポートのことは、ここでは重点を置かない。良く理解すれば応用が効くはずである)。先に示した参考書を推薦する(自分に合った参考書を探すと良い)。

 この講義において求められるレポートについては、下に示す要件を充たしていなければ、そのレポートは受け取らない。書き直し。

 レポート用紙は、A4サイズのもの(生協で売っている)に限る。ワープロを使用することは歓迎する。また、下書きをして、清書すること(少なくとも1回は読み直すこと、鉛筆書きはダメ)。

 

レポートに書いて欲しいこと

1)表題、学部学科、学生番号、氏名
  当然のことであろう。表題は重要だ。表題は与えられる場合もある。

  「教科書を読み、興味を持った点について考えを述べよ」、
  「ミリカンの実験の現代物理学における意義について述べよ」など。

  表題はレポートの顔だ。例えば、種々の本の表題を見てみよ。

  「サイエンス・ナウ」、「コンピュータを創った天才たち」、
  「バルセロナ・秘数3」、「現代科学のミステリー」 など。

これらには、著者が述べることのエッセンスが、興味を引きつけるような表題として表されている(上の例はこりすぎ)。

2)このレポートで何が言いたい(主張したい)のかを1〜2行で書くこと

  目標規定文(木下是雄の言葉)

例えば、「地球の温暖化は必ずしもCO2によるものではない」、「タイムマシンはつくれる」などと言いたい。読者を説得したい。これをレポートとして書くためには、資料を探し、読み、論理的に考えをまとめなければ書けない。
 論理的に考えて筋が通らなければ、考え、主張を変えなければならない。

この部分は、難しければ、後で書く。

3)考えたプロセスを書くこと

  その問題をなぜ取り上げたか、どんな動機で取り上げたか。
  なぜ重要か。なぜ興味を持ったか。背景はなにか。
  これをどのように攻めるか。

     「自分自身がものごとに当たり(実験したり、調査したり)、資料を読んで得た
    情報(生の情報)をそのまま書いても不十分。それに加えて、それに対する自分の
    考えを述べること。それがレポートの重点だ。
     例え、その考えが不備であっても、また、未熟、浅薄であっても、独自性
    (originality)という強みがある。」

  論理性、ストーリー性が必要。書いていく順序。考えをつめる順序。説明する順序。

 

4)自分の言葉で書くこと−−事実と意見の区別

   本などで調べたことと、自分の考えとを明確に区別すること。
   実験したり、資料を読んだりすることは必要である。それをそのまま写し書いて、  さも自分が言っているかのように示してはいけない。自分で論理的に考え、自分の言葉に直して書くことが必要。

   他人の報告、論文、本を読んで得た情報は、自分自身の深い考察によって新しい生命が与えられないかぎり、読者を納得させられない。

   先に述べたように、書きながら考える。考えるために書く。

  主題を見つけること:自分の持っている経験、情報から出発する。推測、推定が正当かどうかを、論理的につめて考えてみる。

 

5)まとめを書くこと

   レポートが2頁を越える場合は、要約を書くこと。この部分は2)の目標規定文を主張が一致しているはずだ。

 

<ワンポイント>

◎自分の道具・武器を鍛えよ。
 (腕をarm という、arm は武器 人間のけんかはまず腕でやる?)
 道具・武器の不足: 覚える −−−−−−−−−→ 解決  −−これまでの方法
           解くべきこと → 考える → 解決  −−これからの方法

 

◎レポートに、正解はない。
 これまでの入試問題のように正解があるという性質のものではない。
 正解を書こうという気持ちより、自分の主張を読者に説得して、納得してもらうために書くという気持ちになろう。

 

◎レポートは感想文ではない。
 論理性が必要。事実とそれに基づく意見。読者を説得するつもり。

 

◎構成を箇条書きにしてみよ。
 構成力、企画力。 仮説・推測を立て、それを検証する。


レポートの注意:気付いた点

語法:「...である。」調と「...ます。」調とを、混ぜて使わない。
   「...だ。」これは、中間なので混ぜてもよい。

 

文章の形式:
  段落−−勿論1文字下げて書き出す。段落の中では1つの事柄について述べる。
      1つの文章が1つの段落となるのは特別で、一般にはおかしい。
  終わりの段落(パラグラフ)は、「まとめ」になるように構成する。
      少なくとも、まとめの1文が要る。

漢字:漢字の間違いが無いように、辞書を引くこと。
   scientific wordを用いよう。

 

木下是雄「理科系の作文技術」を推薦する。一読するとよい。

 

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○ 「.....について感心した(興味深かった)。自分もこれから勉強して更に理解を深めたいと思う。」
 ----このような文章(結構あった)は、科学的では無いし、あまり意味のないものである。理解したことそれを追求した結果を示すべきである。一寸、こびが感じられる。

○ 科学とは、「仮説をもとにして実験観察をつみあげ、法則理論の体系をつくりあげていくような学問」のこと。  板倉聖宣。
 これは、物理学に限らない。

○ レポートの課題について、考え直す必要があるかもしれない。

 

 

>>>ときどき、追加する。