有機金属化学研究室

NEWS

  • 小笠原正道教授が、研究代表者・科学研研究費補助費・基盤研究(B)2018.4-2021.3の助成を受けています
  • 小笠原正道教授が、研究代表者・科学研研究費補助費・挑戦的研究(萌芽)2018.4-2020.3の助成を受けています
  • 学生表彰:修士課程・松田 和生君が2019年度日本化学会中国四国支部長賞を受賞しました
  • 学生表彰:学部生・大路 健仁君が 2019年度日本化学会中国四国支部長賞を受賞しました

卓越した優秀論文   (太字は学生)

  • Yoshida, K.; Liu, Q.; Yasue, R.; Wada, S.; Kimura, R.; Konishi, T.; Ogasawara, M., "Versatile and Enantioselective Preparation of Planar-Chiral Metallocene-Fused 4-Dialkylaminopyridines and Their Application in Asymmetric Organocatalysis", ACS Catal.,2020, 10, 292-301.(SNIP = 2.12, Cite Score2018 12.3)

最新の注目研究

  • Ueda, J.; Enomoto, Y.; Seki, M.; Konishi, T.; Ogasawara, M.; Yoshida, K., "Oxidative Cyclization of o-(1-Hydroxy-2-alkynyl)-N-tosylanilides for Synthesis of 4-Quinolones", J. Org. Chem., 2020, under revision.(SNIP = 0.95)
  • Yen-Chou Chen and Masamichi Ogasawara: Palladium-Catalyzed Sequential Twofold Nucleophilic Substitution on 3-Bromopenta-2,4-dienyl Phosphate: Preparation of C1- and C2-Symmetric Doubly Functionalized Allenes, The Journal of Organic Chemistry,Vol.84, 12463-12470, 2019.(SNIP = 0.95)
  • Kyohei Kawashima, Takehiro Sato, Masamichi Ogasawara, Ken Kamikawa and Seiji Mori : Theoretical Investigations of Rh-Catalyzed Asymmetric 1,4-Addition to Enones using Planar-Chiral Phosphine-Olefin Ligands,Journal of Computational Chemistry, Vol.40, No.1, 113-118, 2019.(SNIP = 1.00)

研究概要

1.  面不斉遷移金属錯体の不斉合成に関する研究成

設備イメージ

シクロペンタジエニル基(Cp環)に非対称に置換基を導入すると、上下二つの面は互いにエナンチオトピックとなる。メタロセンでは金属のh5-配位により面が差別化されており、非対称置換により「面不斉」と呼ばれるキラリティが生じる。面不斉メタロセンは多方面に利用されている重要なキラル・テンプレートであるが、その触媒的不斉合成法はほぼ皆無であった。我々は「オレフィン・メタセシス反応」がメタロセンの分子変換に利用できることを見出し、不斉メタセシス触媒を用いて「面不斉メタロセン類の触媒的不斉合成」に成功している。類似の面不斉は、非対称置換π-アレーン・クロム錯体にも生じる。不斉メタセシス反応は、面不斉π-アレーン・クロム錯体の触媒的不斉合成にも有効である。また不斉反応生成物から誘導化した面不斉ホスフィン類が、極めて優れた不斉配位子として作用することを見出している(大阪府立大学・大学院理学系研究科の神川研究室との共同研究の成果)。

 

2. パラジウム触媒による軸不斉アレンの不斉合成に関する研究

お食事イメージ

2つの集積した炭素−炭素二重結合を有するアレン類は、独特の立体化学,反応性から有機合成における重要な合成素子(シントン)である。我々の研究室では、2-Bromo-1,3-dieneとソフトな求核剤との反応により高収率で様々な置換アレン類を合成する反応を開発した。この反応はパラジウム触媒存在下で進行し、不斉ホスフィン配位子を用いることにより、軸不斉アレンを最高98%eeのエナンチオ選択性で得ることに成功している。この新規アレン合成反応を応用して、様々な生理活性や薬理活性を有する天然物アレン化合物の不斉全合成を達成している。

3. ホスホール/ホスホリドと遷移金属との錯体化学に関する研究

ご入浴イメージ

ホスホールから発生するアニオン種である「ホスホリド」は、遷移金属カチオンにh5-配位しホスファメタロセンを生じる。ホスファメタロセンのリン原子は非共有電子対を有しており、ホスホリドには二種類の異なる配位子である「シクロペンタジエニド」および「ホスフィン」との類似性がある。この点に着目し、多官能性配位子としてホスホール/ホスホリドを遷移金属錯体へ応用し、新たな結合や反応性に関する研究を行っている。

4.   特異な螺旋不斉化合物の合成/応用に関する研究

従来知られていなかった特異な分子不斉化合物として、共役ジエンのアトロプ異性に基づく螺旋不斉化合物や、蔓巻き状分子不斉化合物の合成研究も行っている。前者については、ルイス塩基性のホスフィンオキシド誘導体を合成し、優れた不斉有機分子触媒として作用することを見出した。

 

  • リスト全国紙での新聞報道

徳島大学大学院・理工学研究部・自然化学系の小笠原正道教授と大阪府立大学大学院・神川憲教授の研究チームは、「面不斉マンガン錯体をベースとした従来に無い立体環境を有する不斉配位子」を開発し、これらの配位子を遷移金属触媒に応用することで様々な不斉炭素ー炭素結合生成反応を世界最高水準のエナンチオ選択性で実現する技術を確立しました。これらの結果は、化学分野の学術雑誌の中でも最も権威があるJournal of the American Chemical Societyの2017年139号に掲載されました。小笠原教授/神川教授の研究チームによる触媒系は、酸素や湿気への耐性があり、実験環境に左右されずに取り扱うことができます。取扱いの容易さと高い立体選択性から、キラルな医薬品などを光学活性体として大量合成する際への実用的な応用が期待されており、国際的にも高く評価されています。本研究成果は、2017年2月21日発行の化学工業日報において新聞報道されました。